世界の消費者、企業の位置情報共有に不信感(HERE調べ)


HERE、8か国8千人以上に「企業の位置情報共有」に関わる意識調査を実施

位置情報サービスのHERE Technologies (本社:オランダ・アムステルダム、CEO:エザード・オーバーベック)はアムステルダム時間の3月5日、2017年に実施した「位置情報の共有に関する意識調査」の結果を発表した。

対象範囲は8か国8,000人、うち日本では1,000人を超える人々を対象とした。

によると、多くの人々が、企業は利用者の信頼に乗じて位置情報を収集/利用しているのではないかという懸念を持っていることが広く明らかになった。

このため自動運転車やドローン宅配などの新しいサービスを普及させるには、ビジネス戦略の根本的な再考が必要であるとしている。

具体的には現在、自分の位置情報への制限を完全に管理できていると感じている人は対象の8ヵ国全体で20%、さらに日本ではわずか8%しかいないと云う。

また44%の人々は、位置情報へのアクセスを制限しようとしているにもかかわらず、知らないうちに自分の位置情報がアプリやサービスと共有されていると感じている。

また76%の人は位置情報の共有に関して不安を抱いているか、自分でコントロールできないと感じているとしている。

回答者が信頼を裏切られていると感じる主な理由として、個人データの管理が不十分であり、データ収集者側で透明性が欠如していることが挙げられる。

なお今調査では、8か国8,000人以上からの意見に加え、各国のプライバシーに関する専門家にも詳細にインタビューを行っている。

その他の主な結果は以下の通り。

  • 回答者の65%は、少なくとも1回は自分の位置情報をアプリやサービスと共有したことがある。
  • 収集された自分の位置情報がどのように扱われているかを知っていると回答したのは、全体の4分の1だった。
  • 位置情報の共有に不安を抱いているにも関わらず、過半数は自分のデバイスの位置情報設定を積極的に使用していない。
  • 位置情報の悪用を防ぐための法律や規制を信用している人は5分の1未満である。
  • 位置情報収集サービスが集めたデータを適切に取り扱っていると考える人は5分の1未満でしかない。

HEREでは、この調査の結果を裏を返して見ると、位置情報の収集と利用に関する透明性と管理が改善されれば、利用者からの信用を深め、より多くの人が積極的に情報を共有するようになる可能性があることを示していると述べている。

実際、全体の約70%は、位置情報の収集が必要な理由やその用途を知り、位置情報が保護されるか、安全に保存される、または削除されるシステムがあることが判れば、データ収集者にアクセスを許可すると回答した。

また同程度の割合で、自分で設定の変更や、アクセスの禁止、履歴の削除を簡単に行えるのであれば、アクセスを許可するという回答があった。

HEREでは、この調査結果を見る限り、ほとんどの人はデータの管理に役立つ新しいテクノロジーを受け入れる意思を持つとしている。

また約63%は、どのデバイスにも自分の指定したプライバシー設定を適用してくれる、「プライバシーサービス」を利用するだろうと回答した。一方、人工知能 (AI) ボットに自分の個人情報管理を任せるという回答も51%あった。

なお多くの人は、位置情報の利用に関して自動車の安全性向上という項目を最も高く評価しており、73%がそうした目的には位置情報を共有すると回答した。併せて、お金を節約したり、割引を受けたり、報酬をもらえるサービスも高い評価を受けていた。

今後展開されるテクノロジーの使用においては、自動運転車が最も効率的なルートを検索するためなら72%が喜んで位置情報を共有し、ドローンで行方不明になった人、ペット、物を探すためなら69%が共有すると回答した。

こうした調査結果に、HERE のCPO (Chief Platform Officer) Peter Kurpick博士は、「人々が位置情報をアプリプロバイダーと共有するのは、フードデリバリー、ライドシェア、ソーシャルメディアの活用など、多くのメリットがあるからです。

しかし、多くの人はそれと引き換えに不安を抱いています。現在でも信用不足が問題になっていますが、プライバシー管理を『クリックして同意』で済ませていては、今後さらに大きな問題になると私たちは考えています。

自動輸送、その他の新サービスには、高速のM2M (マシンツーマシン) 通信が必要となるでしょう。

人々がこのようなサービスにスムーズにアクセスするには、新しいプライバシー対策が必要です。

これには、透明性が高くユーザーフレンドリーな設定を提供し、アクセス権の付与や取り消し、あるいはプライバシー設定を管理したり、デジタル環境での共有項目を制限できるようにする必要があると思います。

当社では、『サービスとしてのプライバシー』というコンセプトの展開を検討しています。しかし、最適なソリューションを開発するには、さまざまな業界分野の協力が必須です。

HEREが出資している『Verimi』は、データやプライバシーの管理を促進するための、業界の壁を越えた取り組みの一例です」と結んでいる。

各国の結果は以下の通り
調査は、日本、アメリカ、ドイツ、オランダ、イギリス、フランス、オーストラリア、ブラジルの市民を対象に実施された。

  • 日本の消費者は、位置情報の共有について調査対象となった国の中で最も強く不安を感じ、アクセスを厳しく制限していますが、利便性の向上や時間の節約のためなら共有したいと考えている。
  • アメリカ人は、位置情報に関して政府よりライドシェア企業を信用している。
  • ドイツでは位置情報の共有に関して安全を第一に考えており、位置情報へのアクセスを制限し、共有するアプリを減らしたいと考える傾向が世界の平均より高くなっている。
  • オランダ人は現実的に行動し、パーソナライズされたサービスと制限機能の強化に価値を置いている。
  • イギリスの消費者は、他国の消費者と比較して最も制限に消極的であり、不安も抱いていない。
  • フランスでは「プライバシーパラドックス」が最も顕著。人々はプライバシーに強い不安を示す一方、それに対して何もしない傾向にある。
  • オーストラリアの消費者は位置情報に関して注意深く、透明性の欠如に対する不安を平均より強く感じている。
  • ブラジル人は、現在、特にソーシャルメディアでは共有に関して最も寛容であった。

調査の完全版リポート (英語) は、以下のURLよりダウンロード可能だ。