矢野経済研究所の自動運転車調査。2030年にレベル3の自動運転機能の搭載台数が1,700万台に


市場調査・シンクタンクの株式会社・矢野経済研究所(本社:東京都中野区本町、代表取締役社長:水越 孝、以下、矢野経済研究所)では、自動運転システムの世界市場について調査を実施した。
それによると2015年から搭載されているレベル2(部分的自動運転)の自動運転システムは2020年に509万5000台へ増加すると予測している。

さらに以降、レベル2の自動運転システムの普及拡大が進み、2025年の世界市場規模は2,381万2,000台に到達。
5年後の2030年における自動運転システムの世界搭載台数は、レベル2が2,798万台、レベル3が1,786万7,000台、レベル4が224万4,400台に達するとしている。

今回の調査要素と条件は以下の通り。

1.調査期間:2016年9月〜11月。
2.調査対象:自動車メーカ、カーエレクトロニクスメーカ、半導体メーカ、地図メーカ等。
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用。

なお自動運転システムの捉え方については、NHTSA(米国運輸省高速道路交通安全局)が分類した自動化レベル0〜4までの5段階に沿って分類。

レベル1は運転支援機能であり、現在普及の進んでいるADAS(先進運転支援システム)が該当する。
これは車両の周辺の状況をセンサが検知し、衝突事故を回避する自動ブレーキ(AEB)、前方車両に追従するオートクルーズコントロール(ACC)などがある。

続くレベル2は、部分的な自動化であり、操舵や加減速のうち複数の運転支援を実行し、他の動的運転作業はドライバーが行う。

さらにレベル3は条件付自動化であり、自動運転システムが全ての動的運転作業を実施し、緊急時においてはドライバーが介入する。

最終段階のレベル4については完全自動運転としており、自動運転システムが全ての動的運転作業を実施し、ドライバーはいかなる状況においても運転作業に関与しない。

なお市場規模の概念では、新車における乗用車および車両重量3.5t以下の商用車に搭載される自動運転システムの搭載台数ベースで算出している。

調査結果のサマリーは以下の通り

2020年以降に、レベル2の自動運転システムは本格的な普及拡大へと進み、 2025年時点の世界搭載台数は、2,381万2,000台に達する。

具体的には、2015年から搭載されているレベル2(部分的自動運転)の自動運転システムは、高速道路の渋滞時自動追従と自動駐車機能を中心に搭載が進み、2020年の市場規模は509万5000台に増加する。

2020年以降は、車両搭載のセンサのコストダウンが進むことから、ミドルクラスの車種に於いてレベル2の自動運転システムの普及拡大が進み、2025年の世界市場規模は、2,381万2,000台に到達。

一方、高速道路に於ける走行環境を中心としたレベル3の自動運転システムは、2020年から2021年にかけて搭載開始が進む。5年後にあたる2025年の世界搭載台数は626万7,100台に拡大する。

この段階のレベル3(条件付自動運転)の自動運転システムは、日米欧の高速道路を中心に2020年から2021年にかけて主要自動車メーカのフラッグシップカーでの搭載が始まる計画であることが判っている。

加えて程なくミドルクラスへの搭載も見込まれると見られており、結果、2025年のレベル3の世界市場規模は626万7,100台になる。

次いで2030年に於ける自動運転システムの世界搭載台数は、レベル2が2,798万台、レベル3が1,786万7,000台、レベル4が224万4,400台に達する。

この時期2025年以降は、レベル2の自動運転システムについてはコストダウンが大きく進み、2030年にはレベル1(先進運転支援システム)の市場規模を超える2,798万台に。

併せてレベル3についても、高速道路限定のシステムがミドルクラスまで搭載が進むため、1,786万7,000台に拡大するとみる。

そしてレベル4については、商用車を中心に採用が進み、エリア限定の自動運転バスやタクシーでの移動が活発化するものと見ている。

レベル1から4に至る各段階に於ける詳報

1.市場概況と2025年の世界市場予測
昨今、日米欧で搭載が活発化しているレベル1のADAS(先進運転支援システム)の世界市場は堅調に推移し、2015年の新車における搭載台数は1,354万4,120台であった。

また、TESLA Model Sが2015年から指示器操作による自動車線変更機能の採用を開始しており、レベル2(部分的自動運転)の市場規模は5万880台となる。

レベル2の部分的自動運転については、高速道路の渋滞時における自動追従、自動駐車、自動車線変更(指示器操作による認証式)の機能の実用化が始まっており、今年2016年には、M-Benz Eクラス、日産セレナでも採用を開始している(※日産セレナは単一レーンにおける渋滞時自動追従機能のみ)。

2.2020年の以降のマーケット規模
このレベル2については、同様の機能を搭載した車両が日米欧の主要メーカから2017年から2020年にかけて市場投入される予定であり、同レベルの2020年の世界市場規模は509万5,000台になる。

2020年以降は、各種センサのコストダウンが進み、ミドルクラスへの搭載も期待されるために、2025年のレベル2の世界市場規模は2,381万2,000台を予測する。

また、時速10km(10km/h)を超える自動操舵の法整備については、国連欧州経済委員会の下部組織WP.29(自動車基準調和世界フォーラム)で進んでおり、2018年以降に具体的なガイドラインが示される見込みである。

このため、2020年以降に高速道路を中心としたレベル3(条件付自動運転)の自動運転システムの搭載が活発化し、高速道路上のハンズフリーによる自動運転が実現される見通しである。

3.日本国内に於けるレベル3の進展
対して日本国内では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを一つの公開機会として、日系自動車メーカは、フラッグシップモデルに高速道路中心のレベル3の自動運転システムを搭載する計画である。

しかしレベル3の2020年の世界市場規模は、システムコストが高く搭載車種が限定されるために、14万5,000台に留まる。それでも2025年には626万7,100台に拡大する。

その後5年後の2030年。自動運転システム世界市場規模は、新車における搭載台数ベースでレベル2が2,798万台、レベル3が1,786万7,000台、レベル4が224万4,400台に成長すると予測する。

4.2030年の自動運転システム状況
そして2030年にには、レベル1の市場規模をレベル2が上回り、日米欧ではミドルからコンパクトクラスまで搭載車種が広がる。

一方、世界規模に於けるレベル1の進展については、この時期に達すると中国や東南アジアなどの地域に限定されるために、2030年の市場規模は2,359万台に留まるものと考える。

レベル3の自動運転システムについての技術的背景についてはLiDAR(Laser Imaging Detection and Ranging・光線を放射して反射信号を受け取ることで対象の距離を測定し、その際に距離だけでなく対象物の移動速度や材料組成なども測定可能なセンサ)の小型・低価格化が進む。

5.完全自動運転となるレベル4の技術的可能性
またHD-MAP(高精度地図)の適用範囲拡大、V2X(車車間、路車間通信)の標準化、AI(人工知能)による自動運転用ECUの高度化などが進み、日米欧を中心にミドルクラスへの搭載も見込まれる。

加えて車車間・路車間通信の標準化により、自動運転車をプローブカー(自動車を移動体の交通観測モニタリング装置と捉え、きめ細かな交通流や交通行動、位置情報、車両挙動さらには気候や自然に係わる状況をモニタリングするシステム)としたデータ収集が自動車メーカ各社で活発化し、ビッグデータを利用した自動運転システムへと進化していく。

このため、2025年以降は一般道におけるレベル3の自動運転の実用化が始まり、同レベルの2030年の世界市場規模は1,786万7,000台に伸張すると予測する。

レベル4については、商用車を中心とした普及拡大が予測される。この領域については、すでにバスやトラック、タクシーなどの自動運転の公道実験が始まっている。

この領域は同技術分野の牽引役となるのが必定で、2020年以降からレベル4の自動運転車を利用した移動サービスや物流が始まり、V2XやHD-MAPなどの環境が整う2025年以降に市場は本格化するものとみる。

また、主要自動車メーカによるライドシェアやカーシェアといった企業の買収や出資、提携などが相次いでいる。

自動車メーカは新たな事業領域として、エリア限定の自動運転バスやタクシーでの移動など、レベル4の自動運転車を商用車の分野で活用するものと考える。

資料名:「自動運転システムの可能性と将来展望2016」
発刊日: 2016年12月8日
体 裁: A4判170頁
定 価: 150,000円(税別)
発行:株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2
代表取締役社長:水越 孝
設 立:1958年3月
年間レポート発刊:約250タイトル

矢野経済研究所URL: 

市場調査資料「2016 自動運転システムの可能性と将来展望」: