日産自動車、事業改革。規模追求を変更し収益重視へ

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2019年度第1四半期(4~6月)決算発表にあわせ記者会見を行った横浜市の日産グローバル本社建屋
2019年度第1四半期(4~6月)決算発表にあわせ記者会見を行った横浜市の日産グローバル本社建屋

2022年度までに14拠点で生産ラインを停止し、1万2500人を削減。生産能力を660万台レベルへ

日産自動車の西川廣人社長兼CEO(最高経営責任者)は7 月25 日、2019年度第1四半期(4~6月)決算発表にあわせ横浜市の本社で記者会見し、リストラ策を中心にした2022年度までの事業改革を公表した。(佃モビリティ総研・松下 次男)

 柱となるのがゴーン元会長が進めてきた規模の追求から決別し、事業および投資効率の適正化を図ること。具体的には、海外工場を中心に14拠点で生産ラインを停止し、人員を1万2500人削減。グローバルの生産能力を2018年度の720万台から2022年度660万台へ縮小し、稼働率を69%から86%の水準へ高める。これら不採算事業を選択することにより、「2~3年で適正な事業収支が達成できるかたちに戻す」と述べた。

公表した事業改革は2019年3月期決算発表時に表明していた2022年度までの中期計画見直しの実行版だ。当初の拡大路線を見直し、2022年度末までに売上高営業利益率、6%台(当初計画8%。
2019年度見通しは3%)を達成するための最適な事業配置プラン。売上高(中国合弁会社比例連結ベース)も当初計画の16・5兆円から14・5兆円(2019年度見通し13兆円)へ引き下げ、安定的な収益性を確保できる事業基盤の再構築を目指す。

そのための具体的な施策となるのが「事業及び投資効率の適正化」と米国事業のリカバリーを中心にした「着実な成長」。西川社長は「事業及び投資効率の適正化で3000億円、着実な成長で1800億円それぞれ利益を上積みし、2022年度8700億円(2019年度見通し3900億円)の営業利益を目指す」考えを示した。

このうち、事業及び投資効率の適正化については「9割方めどがついている」と述べ、生産ライン削減などの取り組みと説明した。具体的には、2018~2019年度8拠点で生産ラインを停止し、6400人を削減。さらに2020年度から2022年度の間に追加で6拠点で生産ラインを停止し、6100人を削減する計画だ。

構造改革に伴う人員削減は、2022年度までに世界の14拠点で計1万2500人。国内では福岡、栃木両県の工場の計880人が対象となる見込みであるとしている。
構造改革に伴う人員削減は、2022年度までに世界の14拠点で計1万2500人。国内では福岡、栃木両県の工場の計880人が対象となる見込みであるとしている。

2019年度第1四半期連結決算は営業利益が98・5%減、しかし、2~4Qで挽回可能と表明

生産ライン削減は、新興国向けの「ダットサン」ブランド、小型車の生産工場で、これらはゴーン元会長が拡販戦略として進めた中期計画「パワー88」で投資した海外拠点が主体とした。この中には、一つの生産ライン停止だけでなく、一部は2ライン停止し「工場全体に及ぶ」ところもあるという。一例として「インドネシアやスペインの工場で1ラインを停止している」ことを掲げた。

また、不採算商品を打ち切り、2022年度までにモデル数を2018年度比で10%以上削減する。2022年度のグローバル販売台数は600万台(2019年度見通し550万台)を計画する。

着実な成長では、米国事業のリカバリーが主体になるとし、増販を目標にしたフリートから利益重視のリテールへと販売方法を切り替え、収益性を高める。西川社長は「今年度ピュアなリテールの販売台数を10万台ふやす」とし、これにより総販売台数が増えなくても高い収益性を実現する。これにより米国事業の利益率6%台を目指したいとした。

このほか、着実な成長では「ニッサン インテリジェント モビリティ」を軸にした新商品、新技術の推進を掲げた。
自らの責任問題について、西川社長は今回の「事業改革を計画し、責任がある」と当面、推移を見守る意向を示した。
一方で、ブランド価値向上などの積み残された課題やCASEへの対応については「若い次の世代に委ねたい」と述べ、経営をバトンタッチする考えを示唆した。具体的に「新たに動き出した委員会で決めることになるだろう」とした。

2019年度第1四半期連結決算は需要の低迷や販売正常化に向けた取り組みの継続などから営業利益が16億円と前年同期比98・5%減の大幅な減益となった。当期純利益は64億円で同94・5減。売上高は2兆3724億円で前年同期比12・7減となった。西川社長は第1四半期決算について「当初から厳しい見通しをしていたが、想定よりさらに下振れした」とた一方で、構造改革は着実に進んでおり「第2四半期以降、挽回は可能だ」と述べた。

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松下次男
1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。(筆者への問合せはWebstudioVent編集部 または佃モビリティ総研 まで)